都市と都市

久々に仕事に関係のない本を読んだ。

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

まったく同じ地域に二つの国家が重なっていて、それぞれの国民はもう一方の国を「見ない」ふりをしながら生活をしている、という舞台設定で、このSF=ミステリ小説の面白さは決定したようなものだと思う。それぐらい魅力的な設定である。そして実際に面白かった。帯に「カフカ=ディック的」みたいなことが書いてあったけど、確かにSF的にも(前述のとおりSF的設定が魅力的)、ミステリ的にも(この小説は、殺人事件を追いかける刑事が主人公)、(言語の用い方を楽しむ)小説的にも楽しめる作品である。

ただ残念ながら、翻訳がいまいちな気がする。原典を当たっていないが誤訳っぽいところもあったし、訳文もこなれていない感じ。あと、非常に初歩的な誤字脱字(博士「課程」を博士「過程」とか)なども見られ、そういうのはやはり興を削ぐものである。なんとかならないものかなぁ。