観仏信仰を研究している人間としては、観に行かなければならない展覧会ですよ。
平日に行ったのだが、それでもけっこう混んでいた。
国宝『法然上人絵伝』がけっこうたくさん展示されていて、がっつり見れたのはよかったが、贅沢なもので他の巻も見たくなるのが人情というものである。とは言え、他の作品と比較しても、国宝と呼ぶにふさわしいハイクオリティな絵画作品であることは、素人目にもよくわかった。大判フルカラーのが欲しいけど、岩波文庫の『法然上人絵伝』でも読み直すかなぁ。
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比叡山の僧兵(大衆)が僉議しているシーンを見て『源平盛衰記』を思い浮かべながらきゃーきゃー興奮したり、不断念仏に毘沙門天が出てきたのを見て「やっぱ出るよね―」とかつぶやいているのは、ちょっと変な人だったかもしれない。
あと、ヴァスバンドゥの『無量寿経論』とかも読みたくなってきた。信頼できる大竹晋さんの新国訳大蔵経を買って読むべし。
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阿弥陀信仰を含む観仏信仰は明らかに瑜伽行派でも重視されていたと思うのだが、『瑜伽師地論』の菩薩戒の部分に神秘体験の要素が薄いことを山部能宜氏らが指摘していたりすることからもわかるように、唯識のメジャーな文献には観仏信仰についての記述が乏しい。その意味でヴァスバンドゥの『無量寿経論』は、神秘体験のストライクゾーンに近い文献として、再読されなければならないのではないかと思う。
そんなこんなで満足度は高かったが、ボリュームが多かったためか、根を詰めて見ていたからか、ヘトヘトになった。