夏ということで、ちびたちを恐怖のどん底に叩き落とすために購入したが、あまり怖くなかった (^_^;)
- 作者: メルヴィン・ウィリン,木原浩勝,小林真里
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2012/08/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書のタイトル『世界の心霊写真 カメラがとらえた幽霊たち、その歴史と真偽』に「歴史と真偽」とあるように、本書は心霊写真の多くが捏造である、ということを実例をあげながら淡々と解説する。日本によくある、やたらと恐怖を煽り、読んだたら祟られるぞ〜的なオーラを発している心霊写真本とは一線を画している。特に秀逸なのは、インドの寺院の上に、象の形をした雲が浮かんでいる写真である。雲がいろいろな形に見える、というのはよくあることであり、それを誰も心霊現象だとは思わない。しかし、それがある宗教的、オカルト的文脈になると超自然的な力によってそのような形に雲がなった、と解釈され、心霊写真扱いされるのである(雲の形を見て、天国のおじいさんからのメッセージだ、などと思う人はいるだろうと思う。それに似ている)。筆者は、心霊写真における読者の心性の本質として、このような読者による読み取り能力(物語り化能力)をあげる。我田引水すれば、マンガにおけるキャラ/キャラクター論などにも通底する問題である。
一方で心霊写真研究者である筆者は、写真撮影のトリックや、上記のような読み取り能力などでは説明できない心霊写真がある、という。その残余を「心霊」とするのかどうかについては判断を保留しているものの、本書が心霊写真の本であることがその残余部分で表現されているのである。