突飛な論文と教授会

私が見ているTwitter界隈では鹿児島大学教育学部の先生が紀要に書いた日ユ同祖論論文がちょっとした話題になっている。

特に2番目の、法隆寺五重塔を「その設計図から見て、明らかに送電塔の模型である」、蚕の社の「三柱鳥居は月着陸船の三脚部分と考えて間違いないと思う」などは、なかなかに味わい深い。

ご本人はともかく、気になるのは鹿児島大学教育学部である。私の勤務先には、教員で構成されている紀要委員会があり、投稿された論文に対して軽いチェック機能があったりするのだが、鹿児島大学教育学部にはそういうのがないんだろうか。たしかに大学紀要は読者も少ないしチェックも緩いので、学会誌と違って割と何でもありであることは間違いない。一方で昨今、査読査読とうるさい世相への反発もあって、査読論文は研究者が守りに入るからつまらん、研究者が思い切り書ける大学紀要の価値を見直すべきだ(昔の大学紀要はすごい論文があったもんだ)みたいな論調も聞こえてくるし、私自身も共感する面もある。しかし上の論文を掲載してしまうのはフリーダム過ぎやしないか (^_^;;

ここで思い出すのは宗像教授である。宗像教授や、彼といっしょに謎を追いかける研究者たちは、しばしば学会や教授会などから圧力をかけられている。下にあげるのはその一例(潮漫画文庫版『宗像教授伝奇考』第6集*1、pp. 197-198)。義経伝説を追いかける宗像教授のことが大学執行部?で話題になっている。

上の蝶ネクタイのおじさんは東亜文化大学の学長なのだが、宗像先生について「突飛な仮説や本を出しすぎるとこの前の教授会で問題になった」り「民俗学の重鎮の諸先生からも前々から〔大学宛に〕注意があった」りしたらしい。うへー、怖い。東亜文化大学だったら、上のような独創的な論文はきっと教授会で問題になるに違いない、と予想するのである。

P. S. ついでに: 宗像先生の日常 - moroshigeki's blog