うう、新年度が始まってしまった…。
春秋社のシリーズ現代哲学への招待はなかなか魅力的なラインナップなのだが、最近出たこの本は、私にとってかなりストライクゾーンな感じである。
- 作者: 加地大介
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2008/03
- メディア: 単行本
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まだ読んでないので (^_^;; とりあえず目次をあげておこう。
はじめに
第1章 存在のかたち
- 現代形而上学をとりまく事情と存在論
- 三つの現代的カテゴリー論
- チザム
- ホフマンとローゼンクランツ
- ロウ
- 現代哲学における「存在論的転回」
第2章 穴
- 穴は存在するか
- 穴は回るか
- 穴とは何ものか(1)―物体としての穴
- 穴周り説
- サイト説
- 穴とは何ものか(2)―欠如としての穴
- 否定的部分説
- 欠如体説
- 穴とは何ものか(3)―依存的対象としての穴
- 依存的非物質体説
- 依存的形相体説
第3章 境界
- なぜ境界は重要なのか(1)―実体の独立性
- なぜ境界は重要なのか(2)―実体の自己連結性
- なぜ境界は重要なのか(3)―「触れ合い」の謎
- 境界とは何ものか(1)―無としての境界
- 境界とは何ものか(2)―抽象的対象としての境界
- 境界とは何ものか(3)―具体的対象としての境界
- 四種類の「触れ合い」
- 依存的構成要素としての境界
付論 形式存在論の現代的展開
- 哲学的フォーマル・オントロジー
- フッサール型形式存在論
- ラッセル型形式存在論
- 工学的フォーマル・オントロジー
- 上位オントロジー
- OntoClean
- 基礎的関係の形式理論
- 代表的な形式的関係
- 部分関係
- (存在論的)依存関係
- 「……である (Is-A)」関係
あとがき
参考文献
索引
目次を見てもらえばわかるように、穴と境界は存在論的に言ってどうなのか?(そもそも存在してるの?してるとしたらどういう風に?してないとしたら何で「穴」ってわかるの?)をつきつめていく、という内容(らしい)。穴の存在論については、入不二基義氏の「「ほんとうの本物」 の問題としてのプロレス」*1から刺激を受けて、関心を持って考えている「最強」の存在論と同じ問題意識を共有していると思われる(読んでないので単なる想像だが)。この問題領域は、フィクション論とも関連性が高く、例えば目次に出てくる「チザム」は様相論理学における「チザムのパラドクス」のチザムさんではないかと思う(違ってたらすいません)。
それとともに興味深いのは、この本では情報学の所謂「オントロジ」を射程に入れていることである。もちろん両者は、研究者がだぶっていたりするので当たり前のことなのかもしれないが、日本の哲学系の著作で情報学的、工学的オントロジーがとりあげられるのは珍しいような気がする。溝口先生の『オントロジー工学』*2は、ぶっちゃけ“ゆるい”感じが否めないのだが、こちらは緻密な論述がなされているのではないかと期待される(これも想像)。
ということで早く読みたいけど、しばらくは積ん読だなぁ(涙)。