下流志向

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

内田樹の研究室で半分以上読んでいる気もするのだが、ついつい買ってしまう。まさに現在の職場で経験していること(全力で学びから逃走しようとする学生、「この授業を取ると、何の役に立つのですか?」と聞いてくる学生、マニュアルを欲しがる学生などなど)について書かれているので、説得力というより迫力がある。私自身も、『知へのステップ』を学内にばらまいているような人間なので、まさに経済合理性イデオロギーに大きく加担しているのである。
知へのステップ 改訂版

知へのステップ 改訂版

このイデオロギーにカリキュラムみたいなもので対抗するためには、時間的空間的に隔たっている存在、世界に対する想像力を身につけさせる(要するに“教養”ですな)ことによって、オレ様化を抑止するのが一つの方法だと思っているのだが、なかなか理解してもらえない。「空間的に隔たっている世界」→外国留学礼讃と安易に結びつけたり(留学はすごくよいことだと思うが、体験主義を助長する可能性もある)、教養は大切と言いながら「でも物理とか数学とかはうちの大学にはいらないよね」って平然と言ったり。

でもまあ、大学教員である以上、大学という場があり続ける限り、もがき続けるだけなのである。