シンポジウムの聞きどころ (2)
1回目の続き。今回は「現代」のパートをば。
このパートの発表は、主に技術・開發系の最前線でUnicodeと格闘している方々の戦地レポートです。ここで書いていることは、発表者の方々と打ち合わせをしている中で出た話題を、私が適当に構成したものですので、本質的には「当日のお楽しみ」です。悪しからず。
○風間一洋(NTT未来ねっと研究所)「JavaとUnicode」
次期Javaの仕様策定に携わっている風間さんの報告です。風間さんのご発表は、Javaという言語処理系の最新の開発状況を聞けるというだけでも価値があると思いますが、今回は特に「オブジェクトとしての文字」もしくは「文字オブジェクトの可能性」についてコメントいただきたいです、というお願いをしています。
これは私の問題提起とからんでくるのですが、Unicodeはプロパティなどを充実させる方向で発展を続けており、言わば文字コードであることをやめ、オブジェクト的なものになろうとしています。これは、Unicodeの本質主義(アリストテレス)的な面を考えると至極当然ななりゆきなのですが、それが果たして文字オブジェクトへと進化?するのかについて、ポリシーと実装の両面から語っていただけたらな、と思っています。個人的に楽しみな発表の一つ。
○川幡太一(NTTサイバーソリューション研究所)「UnicodeにおけるNormalizationの処理: Emacs 22でのプロトタイプ実装例の紹介」
Emacsの次期バージョンの開発に参加している川幡さんの苦労話 (^_^;; まだテーマは絞り込めてないみたいですけど、環境ごとに方言があるらしいNormalizationの実装面についてお話していただけそうです。余裕があればインド系言語の実装についても話してもらえるかも。
○村田真(国際大学/日本IBM株東京基礎研)「XMLスキーマ言語における文字集合の指定」
たとえば小学校の教科書などの場合、使ってよい文字が決められていたりします。でも、XMLを使って教科書データベースとかを作ったりする場合、スキーマ言語ではどの文字を使ってよいか/よくないかなどのルールを記述することはできないんですね。XMLは文字に対して非情に寛容です (^_^;; 村田さんはそのような問題について、最新の規格制定事情みたいなものを交えつつ、ご発表いただけるんじゃないかと思っています。
川幡さんと村田さんの発表でも、機会があれば plain text 批判というか、Unicode や XML が前提とする plain text 的(文脈自由文法的)世界の相対化、みたいな感じでお話いただけたらうれしい、みたいなネタふりはしています。もっとも短い発表時間ですので思うようにはいかないとは思いますが、今回に限らず少し真剣に考えたいテーマです。