2002年に出版された『ゲーム脳の恐怖』は、大きな話題になった。
- 作者: 森昭雄
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2002/07/10
- メディア: 新書
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この本はやらやら論座 2007/01 ゲーム脳のすすめと人類の進歩やらでボッコボコに叩きつぶされたはずだが、google:ゲームの悪影響なんか見ると、相変わらずこの手の言説は横行しているのがわかる。
『ゲーム脳』と比べれば微々たる影響力しかないが、こんな楽しい本もある。
ゲーム機器があなたを殺す日がくる!―ノストラダムスの預言成就!マシーンに隠された獣の数字666の秘密
- 作者: 鬼塚五十一
- 出版社/メーカー: さくら出版
- 発売日: 2000/01
- メディア: 単行本
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この本では、ノストラダムスの有名な大予言(「1999年7の月、恐怖の大王が空から来たる…」)が、フリーメーソンの陰謀による人類洗脳計画だとしている。フリーメーソン系の携帯電話メーカーによる66機の人工衛星からマイクロウェーブが携帯電話を通じて脳に影響したり、フリーメーソンの息がかかったゲームメーカーS社(マイクロソフトと提携)による家庭用ゲームによって子供たちが洗脳され、30年後に恐怖の大王(モンゴルで生まれるらしい)の兵士として世界を戦争にたたき落とすらしい。
ちなみにそのゲームは1999年7月29日発売とのこと。当時はPlaystation全盛時代なので、プレイステーションのゲームタイトル一覧 (1999年後半) - Wikipediaを見てみると、この日にはこんなゲームが発売されている。
- プレイスタジアム4(バンプレスト)
- シミュレーションプロ野球'99(ヘクト)
- 重装機兵ヴァルケン2(メサイヤ)
- ポップン・タンクス(エニックス)
- ラクガキショータイム(エニックス)
- ストリートスクーターズ(TYO/ティー・ワイ・オー エンタテイメント)
- みんなのGOLF2(ソニー・コンピュータエンタテインメント)
- 三洋パチンコパラダイス(アイレムソフトウェアエンジニアリング)
- グリントグリッター(コナミ)
- ギターフリークス(コナミ)
- ルームメイト〜井上涼子〜(データム・ポリスター)
S社というとこのリストではソニー・コンピュータエンタテインメントしかない。つまり「洗脳プログラム」が埋め込まれたゲームって『みんなのGOLF2』? (^_^;;
それはともかく、両者は(どちらもインチキだということを除けば)趣きを殊にするが、以下の点で共通する。
- 子どもの凶悪犯罪が増えているという認識
- 唯一の原因を探す心性(陰謀史観的)
- コンピュータに対する過剰な畏怖
どちらも、アメリカの学校での銃乱射事件とか、所謂“酒鬼薔薇事件”とかが起きた状況を受けて、「最近、未成年の凶悪犯罪が増えている」「子どもがキレやすくなった」みたいな認識を共有している(このような認識への反論はなどを参照)。そして、その原因を、複雑な社会の多様な要素を一切無視して、ゲームという唯一の原因に求めようとしている。
唯一の原因を求めるならば、ゲーム以外にも相関を見ることができるものはあるはずだ(平成に入って凶悪犯罪が増えているんだったら、平成仮面ライダーシリーズは完璧にアウト (^_^;;)。しかし、なぜか、標的になるのはゲームやネットなのである。これは、表象としてのコンピュータ (1) - もろ式: 読書日記で書いたような、我々のコンピュータ(的な知性)に対する強い憧れの裏返しなのかもしれない。