触文化がひらくフリーバリア社会

花園大学人権教育研究センターが出している花園大学人権論集15『個の自立と他者への眼差し』に収録された広瀬浩二郎氏の講演録「触文化がひらくフリーバリア社会 ―障害を“いやす優しさ”から“いかす強さ”へ」が、なかなかおもしろかった。

個の自立と他者への眼差し―時代の風を読み込もう (花園大学人権論集)

個の自立と他者への眼差し―時代の風を読み込もう (花園大学人権論集)

広瀬氏は花大の非常勤もされているが、本職は国立民族学博物館にお勤めで、企画展「さわる文字、さわる世界」を企画された人である。この展示には点字に代表される「触る文字」を中心としたマニアックな文字たちが集結していた模様で、しかも当時は文字や書記と身体との関連(『筆蝕の構造―書くことの現象学 (ちくま学芸文庫)』とかに関連するようなこと)をぐるぐる考えていた時期でもあったので、この企画展にはすごく行きたかったわけである。

と同時にこの企画展は、博物館における視覚表現に強く依存した「展示」というあり方自体にも批判的な視点を提供する、自己言及的なみんぱくらしい企画でもあったので、その意味でも行きたかったわけである。でも結局行けなかったのである(涙)。この講演録にもこの企画のことが触れられているが、その中で宣伝されていた下の本もなかなか良さげである。

加えて広瀬氏は、琵琶法師などの盲目の芸能者、あるいはイタコのような盲目の霊能者などを研究している人なのである。しかも居合道合気道などの武道家だったりもするのである(講演録では座頭市にも少しだけ触れられている)。おいおい、ことごとくおいらのツボじゃないですか (^_^;; これまで講師控室でお見かけしたことは何度もあったが、後期のご出講とのことなので、今度はぜひ声をかけてみたいものである。