宮澤賢治殺人事件

千野帽子さん*1が「傑作」と評する『宮澤賢治殺人事件』を(珍しく)一気読みで読了。「当〜然」とか「フム、読者よ」とか「ファッショ」みたいな懐かし目の文体なのに、読ませる力はすごい。

宮沢賢治殺人事件 (文春文庫)

宮沢賢治殺人事件 (文春文庫)

宮澤賢治の社会的・政治的・思想的コンテクストを徹底的に*2洗い出し、それによって作品を解釈するという手法は、『ウィトゲンシュタインのウィーン』を思い起こさせる。となると、ラカプラによる『ウィトゲンシュタインのウィーン』批判*3も思い起こしてしまうのは、思想史研究をしている者の業だろうか。

ウィトゲンシュタインのウィーン (平凡社ライブラリー)

ウィトゲンシュタインのウィーン (平凡社ライブラリー)

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*2:「徹底的に」ってほどでもないか。日蓮関係のネタ本は『ISBN:4056000344:title』だしなぁ。

*3:こっちは絶版なんだよなー。重要な本なのに。ISBN:4582744214:detail