太秦LOVE
正月二日、小雨の中、前から行きたい行きたいと思っていた広隆寺の「釿始め」を見に行く。現在は大工さんの神様である聖徳太子に奉納する形になっているが、昔は内裏などの大きな建築においては毎回やってたものらしい。笙、篳篥のなる中、儀礼用の道具を使って木を削ったり仕上げたりする所作が無言で次第する。本来は祝詞などもあったらしいが、今回は省略。最後は大工さんたちの合唱で締め。
終了後、聖徳太子からのお下がりである餅やお神酒がふるまわれるので、調子に乗ってお相伴に預かる。その際、儀礼用の道具に近寄ってみる機会があったので、激写。金ぴかの曲尺、墨壷、釿、槍鉋など(写真にはないけど木槌も)。3回生のゼミ生が、古い大工道具の研究をしていることもあって、通常のものと比べた大きさなどが気になる。
その後、自転車を巡らせて木島坐天照御魂神社(蚕ノ社)へ。ここは、他の神社と比べても、ちょっと雰囲気が違う。住宅地の真ん中にあるくせに、昼でも暗い。特に、三角鳥居がある元糺の森あたりは、やばいんじゃないかってぐらい怖い。元日に松尾大社にお参りした際にもいつもより丁寧にお参りしたが、今回も丁寧にお参りする。怖さのあまりついついお賽銭を放出してしまうところが弱い (^_^;;
松尾大社、広隆寺、蚕ノ社の三つを参拝したところで、秦氏系宗教スポットの個人的ベスト3を制覇したことになる。縁あって太秦に住むようになってから4年が経とうとしているが、土地の偉いさんにようやくご挨拶をすませたような、そんな気分である。最近読んだ京都「魔界」巡礼 写真と地図でたどる“魔の名所”完全ガイドという本は、歴史学の立場からするとアレ (^_^;; な記述も多いが、とにかく太秦LOVEに溢れた本で気に入っている。何しろ、東映撮影所専属の役者一家に育った著者が、古代はもとより、芸能の起源から秀吉の天下統一まで新羅〜秦氏を根拠に論じようというのだから、太秦民(という言葉も本書で用いられている)は必読であろう。今回の巡礼によって、私の太秦LOVEもますます深まったのであった。