じんもんこん:-)2004雑感

じんもんこん:-)2004が終わった。今回はじめて、二日間みっちり参加した。ご近所ということもあり、花大からはうちのゼミ生+それ以外の学生あわせて10人ぐらい参加したので、その面でもよかった。特にゼミ生にとっては、最先端の刺激的な発表に触れることができた一方、「何これ?」みたいな発表についてはきちんと批判脳が働いたみたいで、いろいろ仕込んだ甲斐があるというもの (^_^;; ともかく、皆様お疲れさまでした。 今回の出番は最後の最後にやるパネルディスカッションの司会。司会だけじゃなく、企画段階から、問題提起、人集め、原稿集めなどいろいろ動いていたのでそれなりに結構疲れたが、かなり刺激的な内容になったのでやってよかったと思っている。基調となるテーマとしては、「古典作品やら無形文化財やらをデジタルアーカイブするという行為は、単なる保存じゃなくて解釈だったりコミュニケーションだったり搾取だったり、対象と積極的に関わることなんですよ、それを意識してやってますか、皆さん?」というものである。人文系でその辺に悩んでいる民俗学や歴史学の若手にしゃべってもらい、情報系の皆さんにその悩みを共有してもらおうという感じになってしまったが、これは戦略ミスだったかもしれない。フロアから「それって“デジタル”をとっても同じ議論が成り立ちますよね?」と言われたが、アーカイブとデジタルアーカイブとの違いは、まさにこの「悩み」が人文系の外側に(際限なく)流出している点であり、それこそがこのパネルディスカッションの動機でもあったので、それが伝わってない(かもしれない)ということは、ちょっと問題提起として失敗であった。うーむ。まあ、「とてもよかった」と言って下さった人もいるし、今後もう少しがんばろう。 # この議論については、年度内にももう一度やるつもりなので、乞うご期待。 それ以外の発表については、招待講演のYvette Hackett, InterPARES 2: An Archival Research into the Preservation of Complex Digital Recordsが結構面白かった。ボーン・デジタルな(つまり紙とかじゃない元からデジタルの)書類をauthenticityやreliabilityを確保しながらアーカイブしなきゃね、というプロジェクトなんだが、最近は書類以外の、例えば作曲家の活動とかを過程も含めて保存しよう!とか言って研究してるとのこと。彼女たちのモチベーションはあくまで書類管理、保存的なものなんだけど、作曲家の考えるauthenticityは作品じゃなくて脳みその中の「意図」だったりする、なんて調査が出たりして、じゃあ何のためのアーカイブなのかわけがわからなくなってくるのがなかなかおもしろい (^_^;; あと気になったのは「古典文学テキストの音声学的分析−「平家物語」を素材として−」と「道法會元における護符分析支援システムの構築」かな。前者は漢文で自分がやってることに近いし、後者は新しい研究が生まれる可能性があり仏教研究にも応用できそう。 ともあれ、いろいろ勉強になった二日間でした。