朝から腹痛で動けん(涙)。うぐぅ。
ところでこの季節は、来年度のシラバスを書かねばならない時期だったりするのだが、いつも教科書の選定で悩む。関係データベースの使い方とか、SQLの書き方とかだと教科書になりそうなのはたくさんあるのだが、一番根っこのモデル化の部分をきちんと解説してくれるものとなると、ほとんど候補がなくなってしまい、文系学生向けのものは皆無に等しくなってしまう。
まあそれでも、Accessが一通り使えるようになればそれでいいや、みたいな割り切りもあって、モデル化とかの部分はプリントで、操作の説明はFOM出版とかの教科書で、みたいな感じでやってたりする。ただ、そこいらの関係データベースの教科書って、直積が「直接」って書いてあったり、リレーションとリレーションシップを混同してたりするので、使っててちょっと悲しい。
関係データベースなどはそんなんでやりくりしているのだが、ディープな人文情報学(作ってなんぼの世界ではなく、作る/作られるってどういうことかを理論的に考えたりもしたいと思っている領域)の場合だと、モデルとかの話を避けて通るわけにはいかない。それで折に触れていろいろ探しているのだが、最近、野崎昭弘先生の『不完全性定理―数学的体系のあゆみ』*1はなかなかよいのではないかと思った。
この本のよい点は、
- 公理系とかモデルとかの話をきちんと書いている
- なんでそんなのが出てきたのかも書いている
- 多分、高校生でも自習できる
- 安い
教科書として不満な点としては、
- 用語「モデル」の使い方が違う
- 不完全性定理を説明することが目的となっている
- メタからベタに帰って来ない
といったところか。
ちなみにこの本は、「文庫化される際に林氏から指摘を受けた過誤は可能な限り直した」*2とのことであるが、その林晋先生がいる京大の情報・史料学専修(ここも「新しい人文情報学」*3を名乗ってる)は、我々のディープな人文情報学と目指している方向は違うが、魂は重なるところが多いような印象。