少林寺拳法関連をいくつか

最近いくつか、少林寺拳法関連で読んだり観たりしたので、まとめて感想など。

まず、開祖の著作を2点:

こう言っちゃなんだが、どちらも内容はあまり変わらない (^_^;; 前者が「奥義」で後者が「入門」というと、言葉の上ではかなりの差があるが、要するにどちらも入門書、というより啓蒙書である。前半は拳士に配布される『読本』を詳細にした感じのもので、コンパクトに過ぎる『読本』よりも個人的にはこっちの方が読みやすい。後半は技の解説。 おもしろかったのは、少林寺拳法が北宗禅の系譜に属するという記述である(『奥義』、p. 90)。体を鍛える修行は当たり前だが時間がかかるし、また少林寺拳法のポリシーとして「人間は死ぬまで修行」だから、頓悟ではなく漸悟であるというのである。法相宗研究者の私は漸悟支持者なので (^_^;; たいへんよろしい (^_^;;

次に、千葉真一先生の映画:

千葉先生なので当然のことながら空手なのだが (^_^;; 柔法、なかんづく投げ技が多用されていて好感度高し。ストーリーは上の『奥義』とかを劇画チックかつジャパンアクションクラブ風味にアレンジした感じ。DVDのメニューには、開祖が千葉先生に指導してると思われる写真が使われていたりして、ちょっとうれしい気分。

最後に高岡英夫氏の比較武道シリーズ2点:

高岡氏は科学的だ、科学的だと言っているが、この2冊を読む限り肝心の実験データなどが示されていないので(どこかの学術雑誌に投稿したりしてるのだろうか?)何とも言えない。むしろ、記号論の用語を使ったり、AFSとかBFSとかの概念の使い方を見る限りでは、高岡氏の方法論はきわめて人文学的な印象がある。つまりAFSとかは、力学的に定義されるものじゃなくて、哲学とかの分析概念(ヤーコブソンの「音素」みたいに、実在するわけではないが、すごく役に立つので実在に準ずる扱いを受ける概念)ではないかな。 ちなみに、空手がBFS系で少林寺拳法がAFS系というのは、この本を読んでないうちの団員も知ってる話なので (^_^;; 多分よく知られた話なんじゃないかと思ったりする (^_^;;