情報歴史学研究室: 「展示と来館者をつなぐ」ことの難しさ以来、“ニコニコ展示”について考えている。ニコニコ展示とは、ニコニコ動画の博物館版みたいなもので、博物館の展示に対する複数の人(展示する人/展示される人/展示を見る人)がコメントを共有できるようなシステムである(展示アノテーションシステムと言ってもいいかもしれない)。
ポイントはいろいろあると思うが、重視する点のひとつは面倒ではないこと。言い換えれば、ニコ動にコメントを書き込むのと同じぐらいの気軽さでコメントが残せること。展示物にペンで落書きをするわけにもいかないし、また展示物のそばにキーボードが置いてあっても誰も触らないだろう。だから、ヘッドセットのスピーカー&マイクを使った、音声によるコメントというのはどうだろうか(下図)。
このヘッドセットにはBluetoothかなんかがついていて、装着者=鑑賞者が展示物に近づくと、以前そこで展示する人/展示される人/展示を見る人が話したコメントが、再生される。また、装着者=鑑賞者が何かをしゃべると、それが録音され、次にそこに来た人(展示する人/展示される人/展示を見る人)に聞かれる。
録音されたコメントがたくさんになってきたら、聞こえてくる方向を分散したり、再生する音声を制限したりするなどしてカバーできるだろう(展示する人/展示される人の音声は展示物に近いので、制限の対象から外した方がいいと思うけど)。いずれにせよ、濱野智史氏が WIRED.jpなどで言う「擬似同期」的な体験を博物館においてできるようにすることが、もうひとつのポイントである。
大ざっぱすぎるアイデアなのでいろいろ問題点もあると思うが、こんなんでニコニコ展示にならないだろうか。もしお金と時間があれば、すぐにでもやってみたいのだが、残念ながらどちらも持ち合わせていないので(涙)、ここにメモっておくのである。