神殿の冗長性?

上賀茂神社のカミさまである賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)を祀っている本殿の隣には、それと全く同じ造り、備品の権殿(ごんでん)という建物がある、というのを国宝・本殿特別参拝とご神宝の拝観で知った。権殿の「権」とは「かりの」というような意味で、権大納言などというときの「権」である。本殿とあわせて国宝だそうである。

説明をして下さった神職(俗人である我々が神域に入ってもいいようなお祓いをしてくれたりもした)によると、本殿に何かあった時に権殿の方にカミさまに引っ越して頂いて、祭祀に滞りがないようにするためだと言う。コンピュータ関係ではおなじみの冗長化・二重化というやつである。さすがは雷のカミさま、電気通信関係にも秀でていらっしゃるのか (^_^;; このような形態は全国でもここにしかなく、それだけこのカミさまが大事にされている証拠だと言う。

この説明にはいまいち納得がいかないでいる。「本殿に何かあった時に」と言うが、例えば火事とかでがあった時にはすぐ隣にある権殿が無事であるとは考えにくい。そういう物理的な危機ではなく、霊的な危機(そんなものがあるかどうかわからないが)であったとしても、避難場所としてはやはり近すぎると思う。式年遷宮のような建て替えを想定しているのであれば、本殿と同時に築造するというのは変な気がする。

この権殿という建物は、二重化ないし鏡像化(ミラーリング)することによって、危機回避とは別の何か特殊な能力を導出するための装置だったりはしないのだろうか。あるいは二重化しないとやっていけないようなカミさまの特殊な事情があるとか。…以上、すべて、不勉強な人間の想像でしかないが。