空の境界

また間が開いてしまった。実際はeBookJapanで買った電子書籍版をiPadで読んでいるのだが、ここでは紙の書籍へのリンクを張っておこう。

空の境界(上) (講談社文庫)

空の境界(上) (講談社文庫)


空の境界(中) (講談社文庫)

空の境界(中) (講談社文庫)


空の境界(下) (講談社文庫)

空の境界(下) (講談社文庫)


こういう言い方をするのも何だが、シリアスな『戦闘破壊学園ダンゲロス (講談社BOX)』という印象。

なぜこの作品を読み始めたのかといえば、唯識関連用語が出てくるらしい、という単純な理由による。なぜ唯識関連の作品を選ぶのかといえば、唯識ラブというわけではなくて、単に選ぶのが面倒くさいからである。世の中にこれだけたくさんの小説・マンガ・アニメが溢れている昨今、また社会人になって時間的な制限が厳しい今日この頃、学生の時みたいに手当たり次第乱読乱視聴をするのは無理である。だから取捨選択をしなければならないのであるが、最近の選び方は二通りあって、一つは信頼できる知り合いがいいと言っているものを選ぶ方法、二つ目は仏教とか唯識とかが出てくるものを選ぶ方法、というものである(もっとも唯識関連の本を読むというのには、仕事上の動機もないわけではない。論文で使えそうなネタ探し、みたいな)。本屋自体は好きなので、たまにジャケ買いとかをするが、最近はたいてい凡退する。

この作品は、西洋系の魔術師が大きな役割を果たすのであるが、彼(女)らが世界の根源的な話をする際に阿頼耶識などの仏教系の概念を参照する所が興味深い。『鋼の錬金術師』に代表されるように、従来の作品はどちらかというと、西洋系の魔術(の背景にある思想)がメインで、東洋は傍流扱い、みたいな西洋中心主義が強く見られたように思われるが、この作品では魔術師がメインであるにもかかわらず、全体的な世界観としては西洋中心主義的なヒエラルキーが薄いように思われる。