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民主党政権下におけるデジタルアーカイブ政策の行方 (1)

政権を取った民主党の一挙手一投足に注目が集まっている今日この頃であるが、デジタルアーカイブ(広い意味での資料のデジタル化による保存・活用)にも、いろいろ影響が出てきそうである。

7月、漢字文献情報処理研究会2009年度公開討論会 著作権をめぐる新動向 〜Googleブック検索と著作権法改正案というイベントを開いた。そこで国会図書館の大場利康さんから、平成21年度補正予算で蔵書のデジタル化の予算が100年分(100億円超)がついたことを紹介してもらった(参照: 朝日新聞デジタル:どんなコンテンツをお探しですか?)。100年分の予算を1年強(来年度も使えるらしい)で使えというのだから乱暴な話ではあるが、Googleが書籍のデジタル化をがんがん進め(これも米国5州の司法長官、Googleブックス和解案に異議を唱えたというので、先行きが不透明だが)、隣国(中国、韓国)でも国を挙げて書籍のデジタル化を進めている状況を考えれば、むしろ遅すぎたぐらいかもしれない。デジタルアーカイブに関心がある人の多くが、この取り組みに注目していた。

ところが、このたび政権交代が起きたことによって、このプロジェクトがなかったことにされるかもしれない――そんな予想を立てたくなるような状況になってきていた。ご存知の通り、民主党は、平成21年度補正予算の一部停止にとりくみはじめたのである。科学技術政策にももちろんメスは入ってきており、補正予算削減の行方 - 科学政策ニュースクリップでも述べられているように、つい最近まで特別扱いを受けていたiPS細胞の山中教授への補助金2700億円まで凍結されそうとのことである。この記事では、

 補正予算は13兆9,256億円が使われるもので、2700億円はそのごく一部です。

http://d.hatena.ne.jp/scicom/20090908/p1

と述べているが、それを言うなら国会図書館への予算はさらに小さい150億円弱である。しかし、マニフェストの実現になりふりかまってられない民主党は、“たかが”蔵書のデジタル化事業なんかは簡単に吹き飛ばしてしまいそうではある。

ちなみに、民主党は一時、マニフェストでデジタルアーカイブ事業の本格化を謳っていたことは、あまり知られていないかもしれない。私が先日発行した『漢字文献情報処理研究会メールマガジン』152号に書いたコラムから引用する:

ちなみに民主党は、2005年のマニフェストで、こんなことを言ってました。

  (5)文化・芸術における知的財産政策をすすめます。
  公正使用(フェア・ユース)規定を創設し、創作者(アーティスト・クリエ
  イター)と、将来の創作者を含む著作物利用者(消費者、エンドユーザー)
  のための知的財産政策を実施します。国会図書館などによるデジタル・アー
  カイブ事業を本格化します。

これだけしかないので具体的なことはさっぱりわかりませんが、何だか昨今話
題のGoogleブック検索国会図書館のデジタル化の話題(上のダイジェストも
参照)を先取りしているような印象もあります。

今回の選挙のマニフェストでは「インターネットを用いたコンテンツの2次利
用促進」というのがあげられており、2005年の「フェア・ユース」を継承して
いるとも言えるでしょうが、「国会図書館などによるデジタル・アーカイブ事
業を本格化」に関連しそうなことは見当たりません。しかし、せっかく2005年
のマニフェストに書いたことなので、国会図書館の蔵書のデジタル化予算につ
いてはなかったことにしないでいただきたいものです。

さて、どうなることやら…(続く)。