SIGCH全国制覇記念シンポジウム「今日から始まるじんもんこん」

情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会が、1989年のスタート以来、47都道府県すべてで研究会を開催するという野望を達成したので、葉山の総研大で記念シンポジウムが開かれた。

  • じんもんこんの過去、現在、未来
  • 特定領域研究申請に向かって
  • 特別講演 市川惇信「寛容な社会における行動規範と行動様式」

また、全国制覇を記念して記念誌が作られた。この記念誌、この日にこの会場に来ないと原則として入手不能という代物で、奥付に番号がふってあるのがミソ(写真)。私は幹事ということで、この記念誌に文章を書かせて頂いた。

全国制覇達成、おめでとうございます。最初に言い出した方々、それを真に受けて実行してきた方々に心からの敬意を表します。

さて、私がこの研究会に参加しだしたのは2003年のCH58(2003年5月30日、三重・上野市労働会館)なので、研究会の長い歴史から考えればごく最近の短い期間をお手伝いしたに過ぎない。その点、先人方と比して語るべき思い出などはほとんどないのだが、47都道府県最後の地である八戸(2006年10月27日、青森・八戸高専)において、懇親会の後にラーメン屋を求めて徘徊し、終にはタクシーに分乗して隣町まで移動、なぜか九州長浜ラーメンを食したのは思い出として記しておきたい。湯気でけむる屋台の中、日本ハムの25年ぶりの日本一の中継を横目に豚骨スープを啜っていると、ラーメン探索団を率いておられた及川先生に「これこそCHの伝統である」と太鼓判を押して頂き(本当にそのように言って頂いたのかは記憶が曖昧なのだが)、団員たちは快哉を叫んだのであった。

研究会の今後のあり方に提案、というとおこがましいが、このような議論がもう少し増えれば、と思うことについて簡単に私見を述べたい。データベースやデジタルアーカイブを作るにあたっては、人文科学者の要求に基づいてモデル化したりプログラムを書いたりすることが多いと思う。数理的な分析においても、人文科学において研究対象となっているものをモデル化するという過程が不可欠であろう。言わば、人文科学というフィールドの中で参与観察であり、データベースなどはその民族(俗)誌であると言える。

このような行為は、日本の人文科学においてあまりなされることがない方法論的な議論を喚起するものとして、非常に大きな意味があると思う。それと同時に、モデル化や記述(データベースの開発など)についてもっと深く議論をしたり、データベースなどを表象文化論的に検討したり、というような研究が、今後もっと増えればよいと考えている。手前勝手な提案であるが、私自身、そのような研究発表ができればと思っているので、今後ともご指導のほど、よろしくお願いします。

はっきり言って、この記念誌をもらいに行ったようなものである。次の日に京都にとんぼ返りしなければならないため、その後の懇親会は泣く泣くキャンセルして、下山。