風流あじろ笠

少林寺拳法に関係する、と聞いて読んでみたが、あまり関係なかった。

風流あじろ笠 (徳間文庫)

風流あじろ笠 (徳間文庫)

清国で少林寺派の拳法を学んだ、という虚無僧が主人公。しかし、拳法の達人というだけで、喧嘩の描写にも少林寺拳法っぽいところはない。まあ、そういう意味では期待はずれ。

しかし、時代小説としてはなかなかに面白かった。江戸初期のかぶき者、旗本奴と町奴の抗争などは、高倉健の仁侠映画に出てくるような古いヤクザと新しいヤクザとの対比などを思い起こさせ、その手のものが好きな人は楽しめるだろう。後半で江戸の大火(天和の大火?)からの復興を指揮する主人公が描かれるが、これは先の東日本大地震における仏教界のボランティア参加などを思い出させて、また別の感慨があった。