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ユリイカ2012年3月号 特集=辞書の世界

これもちょっと前になりますが、『ユリイカ』2012年3月号に「ウェブという言葉の大河の中で 三浦しをん舟を編む』 に寄せて」という小稿を寄稿させて頂きました。

ユリイカ2012年3月号 特集=辞書の世界

ユリイカ2012年3月号 特集=辞書の世界

内容は電子辞書、ウェブ辞書の話です。『舟を編む*1はたいへんおもしろい、辞書好きにはおすすめの小説だと思うんですが、紙の辞書作りにのみ焦点があたっている(21世紀が舞台なのに、メール以外にはコンピュータ絡みの話がぜんぜん出てこない)ことに対する違和感があったので、それを書きました。『漢字文献情報処理研究』第12号に載っている星野渉氏の講演録中で述べられている、

紙の辞書というのは、本来紙である必要はないものを紙しかなかったので、構造化をして紙のなかに押し込んでいたわけです。それが電子化によって解き放たれて、検索をしたい、何かを調べたいという目的に合致した新しい商品になったといえると思います。

という発言が、私の言いたいことを端的に語ってくれています(ちなみに、電子辞書とはどういうふうに作られ、流通しているのかについて関心がある人は『漢字文献情報処理研究』第12号はむっちゃ有益だと思います)。

ただ、ウェブ辞書、電子辞書マンセーという結論ではありません。むしろ、ウェブ辞書などのほうが辞書の内容が単一化し、スタンドアロンなユーザが同一のアーキテクチャのうえで辞書を引く、という「言葉の全体主義」的なことが起きるかもしれない(起きたら嫌だな)という懸念を少し述べて、締めくくっております。

ご笑覧ください。

*1:

舟を編む

舟を編む