我が師 折口信夫

芳井敬郎先生に教えてもらった。

わが師折口信夫 (朝日文庫)

わが師折口信夫 (朝日文庫)

折口信夫の同性愛の対象となった、弟子・加藤守雄氏が、唇を奪われて脱走したり、住み込みの助手になったり、また迫られて逃げ出したり…という体験を綴った本。余計な本を読んでる暇のないこの忙しい時期に、ついつい一気読みをしてしまった。国学院大学出身の民俗学者である芳井先生からは、「折口先生」の男色ネタをほかにもいろいろ聞いており(今生きておられる大先生とかの名前も)、折口信夫とその作品に対する見方ががらっと変わるすばらしい本である。

あと細かいところでは、加藤守雄氏は井筒俊彦先生と慶応大学の同期だったそうで、ちょっとしたエピソードも書かれている。最初は二人とも経済学部志望だったが、途中で文学部志望となり(井筒俊彦氏は言語学志望だったが、慶応にはなかったので英文学ににしたとのこと)、転向記念に簿記のノートをいっしょに川に捨てたりしたらしい。