この世の終りへの旅

読んだ。前から気になっていたものの、Amazonのカートに入れたまましばらく放置していたのだが、もっと早く読むべきだったと後悔した。

この世の終りへの旅

この世の終りへの旅

これはおもしろい。内容に触れづらい(文章化してもわかりにくい)ので理由は書かないが、カフカとか安部公房とかが好きな人にはおもしろく読めるだろうと思う。また、神話・宗教的寓話好きにも楽しめるだろう。他の作品も読んでみたい。

人工物としての規模が閾値を超え、システムであることすら疑わしく、単なる気まぐれで成立しているとしか思えない現代社会。そこにぽっかり開いた異界への入り口を通って、主人公は巡礼にも似た旅に出る。そこで様々な体験をしたあと、最後には振り出しに戻る。手塚治虫の『火の鳥』のような、生を肯定し、目的を持った無限ループではなく、まったくの単純な無限ループ。これがこの作品を美しいものにしている(のかもしれない)。