後藤さんのこと

積ん読だったのをようやく読んだ。

後藤さんのこと (想像力の文学)

後藤さんのこと (想像力の文学)

小説とは言っても所謂「ストーリー」を楽しむものではなく、不条理…というより、SFとか物理とか数理論理学とかのジャーゴンを組み合わせた軽めの文体が喚起する詩的感興みたいなものを楽しむタイプの文学、とでも言うべきなのか。表題作「後藤さんのこと」はえらくおもしろく読んだのだが(全国の後藤さんのことが羨ましく思った)、別の短編はそうでもなかったりして、このおもしろさの違いがどこから来るのか、私にはよくわからない。

ちなみに表題作「後藤さんのこと」では、文字に複数の色が使われている。通常の黒だけじゃなく、赤、緑、青、透明?など。一瞬、色覚異常の読者のことなどを思ったりもしたが、まあ、そこまで目くじらを立てる必要はないんだろうけど。