うう、ちびが二人ともインフルエンザで入院してしまった(涙)*1。ということで、付き添いの合間に読書をしていたりするのだが、始終ばたばたしてそれどころではなかったりもする。そんなこんなで読んだうちの一冊がこれ:
- 作者: 今野真二
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: 新書
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平安時代からサザンオールスターズまで、ふりがなの歴史を追いかける。左右のふりがななども、古い写本・刊本を見慣れている人には割と当たり前のことであるが、そういえばこういう風に手軽に俯瞰できる本ってなかったよなーとか思いつつ読む。ぜひ『零式』*2のふり〓*3もとりあげていただきたかったが、それは無い物ねだりというもの。
本書は単なる衒学的なものではなく、いくつかのキーワードによってふりがなの分類、分析を行っている。中でも、これは鋭い!と思ったのは、次の3点である。
- ふりがなは、自分以外の読者を想定する。
- ふりがなは、(中国語=漢語と日本語などのように)複数の言語の両方に関わるときにも使われる。
- ふりがなは、余剰的な表現に用いられる。
この3点は、デリダ的な意味でのエクリチュールの特徴に重なる。「
あと、ところどころで常用漢字批判をしているのもミソ。
…「達」字には「イタル」「コホス」「トホル」「トホス」「カナフ」「ヤル」「タツ」「ミチ」「ツカハス」「ツフサニ」「ナラス」「ユク」「カヨハス」「サトル」と、実に一四もの和訓が配されている。
ちなみに常用漢字表には音「タツ」が載せられているのみで、訓は一つも載せられていない。…
一二世紀頃には、それまでの中国文化と日本文化との交渉の蓄積として、『〔類聚〕名義抄』が編まれ、そこにはこれだけ多くの和訓がみとめられる。少し大げさないい方をすれば、その文化交渉の「蓄積」が現代には継承されていないことになる。こうしたことを現在に生きるわたしたちはどう考えればよいのだろうか。 (p. 73)
と言うことで、ちょっと物足りないかもしれないけど、文字文化に関心がある方にはおすすめ。