東大寺 お水取り 春を待つ祈りと懺悔の法会

買って得した気分。

東大寺 お水取り 春を待つ祈りと懺悔の法会 (朝日選書)

東大寺 お水取り 春を待つ祈りと懺悔の法会 (朝日選書)

東大寺修二会の構成と所作』の著者が、東大寺の修二会についてコンパクトにまとめた本。

東大寺修二会の構成と所作 (上)

東大寺修二会の構成と所作 (上)


東大寺修二会の構成と所作 (中)

東大寺修二会の構成と所作 (中)


東大寺修二会の構成と所作 (下)

東大寺修二会の構成と所作 (下)


東大寺修二会の構成と所作 (別巻)

東大寺修二会の構成と所作 (別巻)

これを買いたくても買えないやつ(俺だ)は、この本を読んで泣け!

お水取りと言えば、火花がぼぼぼぼーっとなる例のシーンだけが有名だが、本書のサブタイトルにもあるように、本質は「懺悔」である。懺悔行は、中央アジア〜東アジアで盛んに行われてきた神秘体験を伴う実践方法であるが、現在、伝統的なやり方でちゃんとやっているのは日本ぐらいじゃないかと思う。東大寺の修二会は、比叡山の好相行(渡部光臣師、好相を得る - もろ式: 読書日記参照)と並んで、中央アジアぐらいから続いている伝統的な懺悔行を継承している数少ないものの一つである。

ちなみに、奈良博の「古密教展」でもこの修二会関連のものが展示されていたが、神秘的だったり呪術っぽいのはなんでもかんでも密教に押し込めてしまうのはやめてほしいところである。東大寺の修二会にも「授戒」というパートがあるが、懺悔行は菩薩戒を受けるときなどに普通に(かどうかはわからないが、それなりに一般的に)行われていた修行方法の一つである。わからないものをごまかすために、「密教」とか「道教」とか「シャーマニズム」とかを持ち出す例が多すぎやしないだろうか。本書は、そういう乱暴なことはしていないので、ますます好感度が高いのである。