渡部光臣師、好相を得る

今日の京都新聞一面は、好相行の記事ですよ!

天台宗の総本山・延暦寺大津市)で、1000日回峰行と並んで厳しい「12年籠山(ろうざん)行」を修行中の渡部光臣(こうしん)さん(37)が11日、戦後7人目の「侍真(じしん)」僧となる儀式に臨んだ。仏の姿や光を感じるまで、五体投地の礼拝を1日3000回続ける好相(こうそう)行を行ってきた。

渡部さんは4月から12年籠山行に入り、6月16日から好相行を始めた*1。72日目の8月29日、仏を感応する境地に達したことが認められた。

おめでとうございます! 72日目って早いのか遅いのかわかりませんが(『梵網経』だと七日〜一年みたいに書いてある)、次のコメントを読むと、ものすごい早い気がします。

昨年3月に12年籠山行を満行した宮本祖豊さん(49)は、仏に感応するまで600日かかったという。「『仏はいないのでは』と迷いが生じ、精神的に苦しかったが、信心が確信に変わると喜びで体が包まれた。

600日 (^_^;; 想像を絶します。

インドから中央アジアを経て、少なくとも中世の日本まで連綿と行われてきた(と思う)好相行が、比叡山において継続されていることに、心からの敬意を表したいと思います。

好相行及び十二年籠山行について、それをやった本人が書いた本がこれ:

求道遍歴―十二年籠山、そしてその後 (1984年) (法蔵選書〈31〉)

求道遍歴―十二年籠山、そしてその後 (1984年) (法蔵選書〈31〉)


うーん、絶版みたいだなー。山部能宜氏の好相行に関する画期的論文が収録された本はこちら:
北朝隋唐中国仏教思想史

北朝隋唐中国仏教思想史


これももう買えないのか…。山部論文の英語版が載っているはこちら:
Going Forth: Visions of Buddhist Vinaya (Studies in East Asian Buddhism)

Going Forth: Visions of Buddhist Vinaya (Studies in East Asian Buddhism)


私の五姓各別説と観音の夢 『日本霊異記』下巻第三十八縁の読解の試みもよろしく。

*1:細かいことを言うと、確か好相行が終わってから十二年籠山行だった気がするのだが。