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Living Yogācāra

翻訳者のCharles Mullerさんからご恵贈いただきました。ありがとうございます。

Living Yogacara: An Introduction to Consciousness-Only Buddhism

Living Yogacara: An Introduction to Consciousness-Only Buddhism

本書は、興福寺多川俊映貫首の『はじめての唯識』の英訳である。

はじめての唯識

はじめての唯識

私はこの本を、唯識の入門書としては一番いい本だと常々思っていた。八識説とか三性説とか、唯識思想で一番人気がある哲学っぽい(と称される)ところだったら、横山紘一先生の『唯識思想入門』*1あたりがいいかもしれない。でも、たいがいの唯識の入門書では、近代的な視点からは“差別思想”などと評されることもあるが、実践という面ではとても重要な五姓各別説(仏教的な素質には人それぞれ差がある、みたいな説)の説明を避けてたりする。しかし、多川氏の本は、そういうのも逃げないできちんと書いてある。だから唯識全体を見渡すにはこの本の方がいいと思うのである。

Mullerさんが、この本のどこに惹かれたのかはわからないが(訳者序文を読むと、仏教を専攻していない日本の大学生向けの教科書としては、この本が一番よかった、みたいなことが書いてあるけど)、ずいぶん前から「とてもいい本だ」と評価していた。Living Yogācāra.―すなわち「生きている唯識」という題からは、全仏教界を見渡しても薬師寺と並んでほぼ唯一、唯識の法灯を継承する興福寺と多川氏に対するリスペクトが伝わってくる。

*1:[asin:4476010660:detail]