今日、大教室での新入生向けの授業にちょっと遅れて行ったら、学生が一人もいなかった。うひゃー、教室を間違ったか、と慌てて講師控え室に戻り、時間割表を確認したら間違っていない。教務課の職員に事情を説明して、再度教室に向かったら、学生がぞろぞろと戻っていた。事情を聞くと、どこからか教室変更の噂が流れてきたらしい(実際に他のクラスで教室変更があった)。誰かが聞きつけたその噂に、150人を超える新入生が従ってしまっていたのである。
その現象を見て、思い出したのが『全体主義の起源』である。
- 作者: ハナ・アーレント,大久保和郎,大島かおり,ハンナアーレント,Hannah Arendt
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1981/07/01
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
アーレントは全体主義が成立する条件として、相互の結びつきを失いアトム化した個人の集合体=大衆を指摘したが、新入生とはまさに異なる地域から寄り集まっているアトム化された個人の集合体である(そのうち、結びついていくんだろうけど)。そこに一つの情報が流され、それにしたがって行動する個人が発生すると、皆が空気を読んで(ネットワーク理論的には、全体の空気を読む必要はなく、ごく周辺の空気さえ読めばよい)いっせいに同じ動きをしてしまう。全体主義やネットワーク理論と、教室変更の誤情報によるドタバタを並べるのも強引だが (^_^;; 私には狐につままれたような体験だったので、ちょっと大げさに(若干のウソまじりで)記しておくのである。