子嶋寺〜壺阪寺〜羅漢岩

以前から、吉野に行く途中でそばを通るたびに「行きたいよね」と行っていた子嶋寺、壺阪寺に行ってきた。今月は、海住山寺〜笠置寺〜円成寺 - もろ式: 読書日記安土に行ってきた - もろ式: 読書日記についで3回目の遠足である(調子に乗り過ぎ)。どちらも、日本法相宗の重要人物“子島の真興”にゆかりのあるお寺である。

加えて壺阪寺については、「インドで大仏を作って持って来ている」という情報が『ならら』誌上などで載っており、とってもとっても気になっていた。金星人サナート・クマラによる鞍馬寺の開山の話とかが大好物な学生Hさんと「絶対に見に行こうね」と誓い合っていたのが、この壺阪寺の大仏なのである。

それはともかく、まず子嶋寺。

f:id:moroshigeki:20081128134458j:image

最近、因明(東アジアの仏教論理学)関係の文献を読むことが多いので、“子島の真興”のお寺というだけで感動する。脳内補完マンセー。とは言え、子嶋寺でそのように萌えている人は、恐らくごくごく稀で、普通は所謂『子島曼荼羅』のある真言宗のお寺として有名である。お寺の人に「真興ゆかりのものはないですか?」と聞いても、真興の像や一条天皇恩賜の十三重塔ぐらいしか無いようである。

次に壺阪寺。車中から山上の巨大な観音がちらりと見えて、期待に胸が膨らむ。境内は、新旧の建物が雑然と重なり合いながらも、それぞれがエネルギッシュなオーラを放つ独特の雰囲気。

f:id:moroshigeki:20081128144502j:image

お目当ての天竺渡来の大仏は、もったいぶることなく入ってすぐのところに鎮座していた。

f:id:moroshigeki:20081128145255j:image

高さ15メートル。中央に釈迦+千手観音、脇侍?に普賢・文殊という斬新な配置に目を奪われる。いや、バカにしてるんじゃなくて、かなり感動的です。

次に、観音立像。高さ20メートルを下から。寒風吹きすさぶ曇り空であったからか、巨大石仏を足下から眺めると異様な心持ちになる。

f:id:moroshigeki:20081128154229j:image

涅槃像は全長8メートル。お顔は笑顔。

f:id:moroshigeki:20081128154443j:image

でも後ろから見るとちょっと寂しい。

f:id:moroshigeki:20081128154421j:image

個人的にかなり感動したのは、大石堂である。

f:id:moroshigeki:20081128155409j:image

中にはストゥーパ、千手観音、一字金輪曼荼羅、無数の石仏がいらっしゃる。

f:id:moroshigeki:20081128155457j:image

これらの天竺渡来の仏像たちは、近寄り放題、触り放題である。もちろん工事としては問題ないのだろうが(寺内に竹中工務店の事務所があった)、そそり立つ石塊はそれだけで暴力的な威圧感、重量物ゆえの包容力などを同時に感じさせる。しかもこのてかっとした白さが、単なる包容力ではない、つかみどころのない聖性みたいなものを感じさせる。不思議だ。

最後に、地図上では「羅漢岩」と呼ばれている磨崖仏群がある場所を参拝する。ここはとてもすばらしい場所であった。五百羅漢、両界曼荼羅(写真)、聖衆来迎図等々が掘られている。

f:id:moroshigeki:20081128162436j:image

ただ残念ながら、ただでさえ鬱蒼としているうえ、時間的に遅かったのと、曇り空で、うまく写真が撮れなかった。再度来てみたい場所である。