音と意味についての六章 復刊

こいつはめでたい。

音と意味についての六章 (新装版)

音と意味についての六章 (新装版)

目次は以下の通り(音と意味についての六章【新装版】:みすず書房より):

序 クロード・レヴィ=ストロース
I 調音音声学と音響音声学
II 音韻論の誕生
III 音素の特殊性
IV 音素は弁別特性の束である
V 能記ははたして線的か
VI 言語記号は恣意的か
訳者あとがき

音と意味についての六章【新装版】:みすず書房を見てもわかるように、この本はなぜか「聴講したレヴィ=ストロースがその発想の原点とし、構造人類学を生み出した書」というところで評価されてしまっているが(私もずっとそういう認識だった)、個人的には別の思い出がある本である。

この本を知ったのは、確か2002年に大阪外大のプロジェクトによばれてCHISEに関する紹介をしたとき、山崎直樹さんに教えてもらったのが最初だと思う。CHISEのChaonモデルでは素性(当時は「属性」って言ってたと思う)の束によって文字を表現するが、これがヤーコブソンの「弁別特性の束」に似ている、ということを教えてもらったのである。Chaonモデルの「素性 feature」という言い方は、ヤーコブソンの「弁別特性 distinctive feature」からもらっている。

山崎さんからはこの後、この本と下の本を紹介してもらった。

音韻論総覧

音韻論総覧

ここに書かれているプラーグ学派からヤーコブソンという流れが、UnicodeからCHISEという流れに似ていて面白い。読みやすいし、こちらもおすすめ。

『音韻論総覧』のほうは割と簡単に古本屋で見つかったのだが、『音と意味についての六章』はなかなか手に入らなかった。『音と意味についての六章』の原題は“Six leçons sur le son et le sens”と韻を踏んでる感じなのがなおさら物欲を刺激し、ようやく手に入ったときはうれしかった。