キャラ/キャラクター論というと、マンガやライトノベルのような所謂サブカルチャー系のものが多く、そこから現代の日本の社会状況などに結びつける時代区分論的、あるいはジャンル論的な議論になりがちである。下の2冊もまた、現代文化論、若者論的な論調であることには変わりはない。
一般キャラクター論なるものを構想している立場上?キャラ/キャラクター的現象を特定の時代やジャンルに限定することには反対である。キャラクターはシンプル、典型的、みたいな図式が前提となっているように思うが、キャラクター的な現象一般と、キャラの単純化/ステレオタイプ化やキャラ立ちなどとは区別されるべきではないかと思う。
- 作者: 相原博之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/09/19
- メディア: 新書
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この本は、最近の目につく社会現象を無理矢理「キャラ」というキーワードで説明しようとして失敗しており(セカンドライフの持ち上げ方は、今となってはちょっとイタい)、上に書いたようなダメなキャラ/キャラクター論の典型のような気がする。しかも、統計調査などを使って実証的なムードを醸し出そうとしているが、こちらも残念ながらわかりやすいぐらい失敗している。日本人がキャラクターとの相性がいい、みたいな話をするのに、日本の統計しか出さないのはそもそも意味がないじゃないか (^_^;;
- 作者: 瀬沼文彰
- 出版社/メーカー: STUDIO CELLO
- 発売日: 2007/02
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一方、こっちの本は、若者論ベースで、かつまとまりを欠いている部分があるものの、インタビューの分析を通じて「キャラ」の意味をあぶり出そうとしているのは、一定の評価をしたい。ただ、最終的に「キャラとはこういうものだ」みたいな著者なりの結論(仮説)が出ず、「奥が深く、とらえるのが非常に困難」と白状してしまっているのは残念。