理想郷としてのザ・ロード

ザ・ロード - もろ式: 読書日記で弱音を吐き、放置状態になっていた『ザ・ロード』であるが、がんばって読んでみた。がんばって、と言っても、ちょっと読んだらやめられなくなって一気読み。

ザ・ロード

ザ・ロード

この小説、各所で紹介されているように、核戦争後を思わせるきわめて悲惨な状況の話なのだけれど(そんな死の世界をひたすら歩く話なのに、最後まで飽きさせないのはすごい)、逆説的に4歳ぐらいのちびを持つ父親(それは私であり、作者のコーマック・マッカーシーもそうである…ってのは訳者あとがきで知ったのだが)にとっての理想的な父子関係が描かれているのではないかと思う。状況が悲惨であるからこそ、かえって父と子の(父から見た)あり得べき関係が実現して行く、というメロドラマ的な話、と言えば身も蓋もないかもしれないが、思いっきりそれにやられた次第。