最強格闘技の科学

皆、同じようなことを考えているなぁ、と思う今日この頃。

私が最近読んだのはこれ:

最強格闘技の科学―最新スポーツ・バイオメカニクスが教える“強くなるコツ”

最強格闘技の科学―最新スポーツ・バイオメカニクスが教える“強くなるコツ”

なんだか一人だけ頭が悪い気がする (^_^;;

別に最強になりたいわけではない(私の説だと、最強とは永遠に遠ざかる目標なので、誰も最強にはなれない (^_^;;)。いや、正直言うと、少林寺拳法の修行に役に立たないかな〜という下心があるのは間違いないが、それより身体感覚、身体技法などの記述、叙述、伝達、継承みたいな問題を考えるためのネタのひとつとして読んでいるのである。パンチ力の測定やフォームの解析程度で「最強格闘技の科学」と名乗るのは、これだけ格闘技ファンの目が肥え、ボキャブラリの増えた今となってはやや大言壮語な感もあるが、いずれにせよ「最強」を記述したいという意図はよくわかるというか、何と言うか。ちなみに著者の吉福康郎氏少林寺拳法の修行もされているとのことで、少林寺拳法に関するデータや分析が多く、また割と珍しいと思うが中国武術発勁などについても多くの記述があるので、その筋の方にはおもしろいかもしれない。

上の本はモーションキャプチャよりも古い技術(連続写真とか)を使ったものであるが、デジタル技術は使っていないけど同じ物理系の先生が書いた本として、こんなのもありますな:

武道の達人―柔道・空手・拳法・合気の極意と物理学

武道の達人―柔道・空手・拳法・合気の極意と物理学

ページの左下に「秘伝 月面三段投げ」のパラパラ写真があるのが秀逸。GIジョーを使った説明もナイス。

継承の問題については以前、「「デジタルアーカイブ」とはどのような行為なのか」という、いいかげんな論文*1で、論じようとしたことがある。

デジタルアーカイブの目的として「文化の次世代への正しい継承」ということが しばしば言われる。しかし、文化が変化を前提としていると考えれば、 デジタルアーカイブによって「次世代への正しい継承」はできず、 場合によってはそれを阻害する可能性もある。 また、デジタルアーカイブによる「次世代への正しい継承」という言説の背景には、 研究者やデジタル技術による特定イデオロギーへの権威付けや、 国家政策との関連が見出される。デジタルアーカイブは、むしろ、 このような運動を相対化する方向で活用されるべきではないだろうか。

これも続編?を書かないとなぁ。そういえば『歴博』の最新号も、こんな話だったなぁ。

*1:引用方法が不適切であったと判断しましたので、「一例をあげれば」(p. 34, 左l.13)から「おこってきたことであろう。」(p. 34, 右l.8)までは削除願います。