神経文字学

神経文字学―読み書きの神経科学

神経文字学―読み書きの神経科学

まだ読みかけだが、なかなかおもしろい本である。脳科学から見た文字(特に書字障害)に関する研究をまとめたもの。英語では、ニューロ・グラマトロジー neurogrammatology と言うらしい。

興味深い点はいくつかあるが、やはり一番目につくのは「漢字と仮名とでは脳内の情報処理機構が異なる」ので、仮名に読みの障害が出ると同時に漢字には書く障害が出る、みたいに漢字と仮名で独立した障害が出るときがある、という報告である。容易に想像されるように、このような症例は日本人研究者の報告によって研究が進んでいるらしい。

また「制御文字考」(『人文情報学シンポジウム ―キャラクター・データベース・共同行為― 報告書』、 2007年12月)なんて論文を書いている手前、きちんとした字が書けるのに文字の大きさだけがコントロールできない(小さくしか書けない)小字症や、縦書きしてるのに突然横書きになってしまったりする空間性失書など、書字における制御面?に障害が出る症例を興味深く思った。