象られた力

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)

この手の小説はどうしても設定を重視してしまうところがあるのだが、この本はなんつーか小説として(文を読むのが)おもしろかった。ジャンル的にはSFらしいが、トドロフ先生*1の言うところの「幻想文学」に近いのかも。設定の好みは「デュオ」と「夜と泥の」。ちょっと気に入ったフレーズは表題作から:

人間はすべてをまずかたちとして認識する。かたちとはなんだろう――輪郭だ。輪郭とはなんだろう――境界だ。境界とは――事物が接し、せめぎ合う界面。そこには必ずちからが介在する。

*1:

幻想文学論序説 (創元ライブラリ)

幻想文学論序説 (創元ライブラリ)