「花園明朝」公開!

フリー(自由)な漢字フォント「花園明朝」(略してハナミン)がようやく公開されました。関係者の一人として大変うれしく思います。
http://fonts.jp/hanazono/

まだいろいろ不具合(Mac OS Xで使えないとか)がありますが、ご利用頂ければ幸いです。ヒラギノ明朝のひらがなと組み合わせると、なかなかきれいです。

元々はCHISEプロジェクトの一環として開発されていたKAGEシステムを充実させようということで始まりました。CHISE文字コードに依存しない、まったく新しい文字処理(書記)システムで、足りない文字があったらその場で文字が作り出せるという特徴を持っています。KAGEシステムは、漢字のパーツの組み合わせ(例えば「草冠+車+龍」みたいなもの)を与えると、自動的にそのフォントを作ってくれるシステムで、CHISEには欠かせないものなのですが、個人で開発していたこともあっていかんせん肝心のパーツが少ししかありませんでした。

じゃあ、こういう手間がかかる仕事はお金をどこかからひっぱってきて、まとめて作っちゃおう、ということで、Kanji Database Projectの一環として科研費をとったり、花園大学の学術フロンティアで漢字処理研究室というのを担当していたこともあってそこからお金を頂いたりして(お金集めだけが私の仕事 (^_^;;)、あるデザイナさんにお願いしてパーツを作り始めたのです。その際、とりあえずの目標として、JIS X 0208(所謂、第一水準と第二水準)に収録されている6000字余の漢字が合成できるだけのパーツを作る、というのを設定しました。

JIS X 0208相当の漢字を目標とするのには、他にも理由がありました。漢字のパーツだけを作って公開しても、世間的にはインパクトはありません。KAGE、そしてCHISE知名度をアップさせるためには、KAGEベースで開発したフリーなフォントを公開するのが良かろう、という目論見がありました(ちょうど東風フォント問題*1なんかもあって、日本語のフリーなフォントがバタバタしていた時期でした)。

最近、IPAフォントが公開されて*2、ちょっと先を越された感じもありますが、IPAフォントがフォントのデザイン変更を認めてないのに対して、花園明朝は真に自由なフォントを目指しているので、その辺もまるまるOKです。というかすでに、GlyphWikiという、KAGEベースの「よってたかって」フォントを開発できるシステムの運用実験が始まっています(これもとてもおもしろいシステムなので、いじってみて下さい)。

ちなみに花園明朝の「花園」は、花園大学の「花園」です。基本的にお金を出しただけで、開発にはほとんどタッチしていないのに、ありがたいことです (^_^;; すばらしい開発者たちに乾杯!