『漢字文献情報処理研究』第8号出ました

http://jaet.gr.jp/jj/jj8.png:image:right私が代表をしている漢字文献情報処理研究会の会誌『漢字文献情報処理研究』第8号が出た。

この号には、「漢文のマークアップ 現状と課題」という題で、LaTeXの返り点マクロなど、既存の返り点マークアップ方法を簡単に紹介した短い文章と、「学術情報インターフェースとしてのGoogle Earth」という題で、インド学仏教学論文データベース(INBUDS)のように地理情報や時間情報をもつ学術情報データベースへのインターフェースとしてGoogle Earthが使えるかもよ、みたいな記事を書いただけで、あまり貢献できなかった。

どの論文、記事も興味深いものばかりだが(編集委員として書いてもらいたい人にお願いしたりしてるんだから、興味深いのは当たり前である)、個人的に今号で注目なのは、

  • 山崎直樹さんの「訓点付き漢文の返り点から統語情報を導出しXMLで構造化する試み」
  • ソフトウェアレビューのGoogle特集
  • 石岡克俊さんの「東洋学情報化と法律問題―第5回 音楽/楽譜の校訂と著作権法(中編) 校訂権とその周辺(その三)」

である。

石岡さんの論文はなんと Marc-Antoine Charpentier のグラン・モテの楽譜の校訂に関するもので、大学時代にシャルパンティエの“Super flumina Babylonis(バビロン川のほとりで)”を歌ったことがある私としてはそれだけで楽しかったりするのであるが、「校訂」という行為に著作性はあるか?(テキストクリティークには著作権は発生するか?)みたいな問題に法学的にアプローチしようというたいへん興味深いテーマを扱っており、古典学、文献学、歴史学などの方法論に興味がある人にはおすすめのシリーズなのである。

お買い求め頂ければ幸いです。