日本古写経善本叢刊第二輯 大乗起信論

moroshigeki2007-05-08国際仏教学大学院大学学術フロンティア実行委員会より、第一輯に引き続きご恵贈頂く。ありがとうございます。こんなのを頂いていいんだろうかと気後れするぐらい、紙にもこだわった(らしい)、すごく立派な本です。

金剛寺一切経の訓読は、通常のそれと違うらしい。例えば『大乗起信論』冒頭の、

歸命盡十方  最勝業遍知
色無礙自在  救世大悲者
及彼身體相  法性真如海
無量功紱藏  如實修行等

という偈は、普通(例えば岩波文庫*1だと)「尽十方の最勝業なる遍知と…如実修の行等に帰命す」と訓読するが、金剛寺本の訓点「命は十方を尽くし、最と勝と業と遍と知と、色と無礙と自在の、救世大悲者に帰せしめたてまつる」と読んでいる。「帰命」を一単語として読んでないし、途中の部分も切り方が全然違う。

うーむ、なんだか面白いなぁ。テクストを読むって、極端なことを言うとこういうことなんだよなぁ。で、こういうのを見ると、不謹慎な私はついついもろ式: 読書日記: 般若心経現代語訳 釈迦の怒りと二千四百年目の真実*2の「般若心経暗号説」を思い出してしまうが (^_^;; たくさん集めると、俺様訓読による思想史とかできるかもね。

*1:

大乗起信論 (岩波文庫)

大乗起信論 (岩波文庫)

*2:

般若心経 現代語訳―釈迦の怒りと二千四百年目の真実

般若心経 現代語訳―釈迦の怒りと二千四百年目の真実