えせ関西人が思う尼崎脱線事故

尼崎のJR脱線事故は本当に痛ましい。関西在住者として、次は自分か?と思うと恐怖に震える毎日である。 テレビなどを見ていると、「JRの体質が招いた事故」みたいに言われており、インタビューを受けている街角の人々も口々に「JRはひどい」と罵っている。確かに大筋はその通りなのだろう。 しかし、本当にJRだけの責任なんだろうか?とも思う。JRの「遅れたらペナルティー」は、乗客のニーズから生まれたものだろう。もちろん、それだからといって何をやってもいいというわけではないが。 全国を転々とした後、現在、京都に住んで4年目のえせ関西人(一応大阪生まれ)の私が気になることとして、関東と比較して関西にはフェンスがないところが多い、というのがある。川でも、線路でも、関東だったらフェンスやら何やらで侵入できなくするようなところに、フェンスがない。だいたいそういう場所は、フェンスがあってもなくても誰も通らないようなところだったりするのだが、関東ではそこにフェンスをたて、関西はそのままにしておく。 これは、一見、関西の方が合理的にも思えるが、果たしてそうだろうか。「誰も通らないようなところ」でも、リスクはゼロではない。0.1とか、0.01とか、ほんの少しだがリスクはある。それをあると見なしてゼロに近づけようとするか、ないと見なして放置するかは、そこで実際に事故が起きるかどうかよりも、それが醸し出すメンタリティーへの影響が大きい。私に言わせれば、このメンタリティーが関西には充満しているように思う。例えば、明石の将棋倒し事故などは、まさに極小のリスクが一カ所に集積した結果起こった事故ではなかったか。 今回の事故も、JRのネットワークを還流する極小のリスクが一カ所に集中したように思えてならない。単なる印象論なのだが、実はそれが一番怖くてたまらないことだったりするのである。