関屋晋氏が亡くなった

関屋晋氏が亡くなった。アマチュア合唱界の神々のひとりである。 氏とはほとんど面識はないが、高校時代に一度、指導してもらったことがある。うちの高校の合唱部は、ルネサンス期のポリフォニーを得意?とする変なところで、男声合唱(昔は男子校だったのだ)のくせにカウンターテノールがいて、女声の音域をカバーしていたりしてた。ルネサンスの昔には、女性が教会で聖歌を歌うなんてのはありえないことだったので、これが正統なのである (^_^;) ところで指導をしてもらうとき、意外なことに関屋氏はポリフォニーを振ることができなかった(本人もできないって言ってたと思う)。曲はThomas Tallisのエレミア哀歌だったと記憶している。しかし、振れないということは、まったく問題ではなかった。目の前の指揮台で指揮と言うより巫女の踊りのような、祈りのような動きをするおっさん(失礼)に、高校生であった我々は完全にコントロールされ、音楽を引き出されていた。ものすごく神秘的な体験であった。 それ以前にも以後にも、様々な名指揮者とよばれる人々の指揮で歌ったことはあるし、また自分でも指揮をすこしやっていたのだが、あの時のような体験は二度とない。 ご冥福をお祈りしたい。