ローマ字印刷研究

井上嘉瑞・志茂太郎『ローマ字印刷研究』(紀田順一郎セレクション、HONCOレアブックス1) 某研究所の共同研究班のネタとして購入。この共同研究のために『組版原論』とか『傳書 活版技術』とか買ってるんだけど、我ながらこういうのが結構好きなんだなぁと思う。 さて、この手の組版の本というのは、「こんな醜い組み方をするのは言語道斷である」とか「組版の美しさのためならテキストを書き換えるのは当たり前」とか書いてあるんだけど、んじゃその美しさって何?と思ったときに、その答えを見出すことができない。ただ、これが美しい、これは醜いという事例が載ってるだけで、「原論」とかいう割には理論的説明が全然載っていない。これは大いに不満であり、いろいろ買い漁っている理由の一端かもしれない。 ところが今回の本『ローマ字印刷研究』には、わずかながら美しさの理論的説明があったので、ちょっとうれしかった。曰く印刷とは「形式美」であり、「文字又は文字群の配置、色調の混用等に於て」は「黄金率的比例感が必須である」と(p. 43)。たったこれだけなんだけど。 ほかにもイタリックって「斜体」ではなくて、もともと別の書体だったとか、しらなかったことも多く勉強になりました。