マンガ論・アニメ論の方法

ヴェネツィアビエンナーレ日本館の展示が「おたく:人格=空間=都市」だそうなので、何となく考えたことを(同僚に夏目房之助先生もおられることだし (^_^;;)。 マンガ論とかアニメ論とかに必要なもの、もしくは何をなすべきかについて、考えてみると、(1) 文献学的なもの、(2) 批評、(3) 形式論・メディア論、(4) 制度論(雇用形態とか著作権とかも含む)、(5) 作家論、(6) 作品論、(7) 受容史ぐらいかなぁ。 (1) 文献学的なものとは、草稿、雑誌掲載原稿、単行本化した時の原稿などを比較したり、引用関係やらをこつこつ調べたりして、作家や作品(作業仮説としての“オリジナル”)に迫ろうという研究。努力家向け。 (2) 批評とは、映画における蓮見重彦みたいな仕事。マンガやらアニメやらに現代を見る、センスがある人向け。作家やコミュニティに共感したり感動したりするやつはやっちゃいけない仕事かも。 (3) 形式論とは、4コママンガやら雑誌連載やらOVAやらテレビ放送やらと言った形式が、如何に内容を規定するかという研究。夏目先生の最近の講義は、編集者と漫画家との関係が内容に如何に影響するか、みたいなのだったらしい。 (4) 制度論は (3) に近いけど、もっと泥臭い話。 (5)、(6)はスタンダードな文学研究でよくやってるやつですな。NHKのBSでやってる討論会みたいな番組と同じ。あまり好きじゃないが、多分これをやる人が一番多いかも。 (7) 受容史というのは、苦しいカテゴリ。要するに、同人誌などで広がるのが必然とも言える(むしろ、そっちの方が巨大であったりする場合もある)この業界で、やはりそれはそれで独立した研究対象とした方がいいのかなと。 以上、単なる思い付きです。マンガ論とかを立ち上げている機関やグループは、どういうカテゴリを立ててるんだろう?