哲学・思想・宗教

〈身〉の構造 身体論を超えて

さくっと読めた。〈身〉の構造 身体論を超えて (講談社学術文庫)作者: 市川浩出版社/メーカー: 講談社発売日: 1993/04/05メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (11件) を見る『身体論集成』よりもこっちを先に読むべきだったかもしれ…

『言葉と無意識』と身体論

ソシュールの研究で有名な丸山圭三郎氏の『言葉と無意識』については、西洋哲学研究者からの唯識思想(阿頼耶識説)に対する言及として注目していたが、改めて読みなおしてみると身体論について考える上でもいくつかヒントになるようなものであった。言葉と…

最近読んでる本

ブログを全然更新しないのもあれなので、最近読んでいる本をいくつか並べておく。唯識ということ―『唯識二十論』を読む (新・興福寺仏教文化講座)作者: 兵藤一夫出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2006/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含…

2010年度 第15回 元曉學研究院 學術大會 元曉學의諸問題II

11月11〜13日、韓国・慶州市で開催された表題のイベントに参加してきたので軽くご報告。11日、京都から関空、釜山(金海国際空港)経由で慶州へ。2003年に慶州に初めて調査旅行に行ったときはソウルから南下したのでかなり遠い気がしていたが、釜山経由だと…

突飛な論文と教授会

私が見ているTwitter界隈では鹿児島大学教育学部の先生が紀要に書いた日ユ同祖論論文がちょっとした話題になっている。 日本・イスラエル比較文化研究 : 日猶同祖論考: Kagoshima University Repository 日本・イスラエル比較文化研究(2) ―日本列島は誰が…

もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら

著者の架神恭介さんからご恵贈頂きました。ありがとうございます。もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら作者: 架神恭介,おぐし篤出版社/メーカー: イカロス出版発売日: 2010/10/08メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 395回この商品を含むブログ (28件)…

現代人の祈り 呪いと祝い

内田樹先生の「呪い」論は『新常用漢字表の文字論』*1所収の拙稿で援用させてもらっていることもあり、速攻で購入。現代人の祈り―呪いと祝い作者: 釈徹宗,内田樹,名越康文出版社/メーカー: サンガ発売日: 2010/07/02メディア: 単行本(ソフトカバー) クリッ…

鑑真(岩波新書)

私の名前が載っていると聞いて読んでみた。鑑真 (岩波新書)作者: 東野治之出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/11/21メディア: 新書 クリック: 11回この商品を含むブログ (16件) を見る確かに、2003年に発表して以来、ほとんど反響のなかった (^_^;; 私の…

仏教の修行マニュアルに見る「身体」イメージ

五姓各別説の研究から始まり、菩薩戒における観仏体験の問題などを経て*1、最近手探りで進めているのが仏教における修行と身体の問題である。文献ベースの思想史研究などと違って定番の方法論があるわけでもなく、またこの手の話題を発表するような場もなか…

村上専精『活用講述 因明学全書』における因明理解

先にメモ的に書いた大西祝『論理学』における因明理解 - もろ式: 読書日記の続き。大西とほぼ同時代の村上専精(1851-1929)の『活用講述 因明学全書』*1における因明理解も興味深いものがあるので、簡単にメモしておく。 普通的/抽象的 村上は、従来の因明…

仏ゾーン

読んだ。仏教マンガシリーズ。仏ゾーン 1 (集英社文庫―コミック版)作者: 武井宏之出版社/メーカー: 集英社発売日: 2007/07/18メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 22回この商品を含むブログ (16件) を見る 仏ゾーン 2 (集英社文庫―コミック版)作者: 武井宏之…

大西祝『論理学』における因明理解

今年度の前期、京大の非常勤では「東アジア仏教論理学(因明)とその近代における受容」という講義をしている。その中で、大西祝(1864-1900)の『論理学』*1という本で因明が概説されているのを紹介したのだが、これがなかなか興味深いものであったので、以…

聖徳太子研究の最前線

以前、石井公成さんの聖徳太子研究に関する記事(聖徳太子論の見直し - もろ式: 読書日記)には大きな反響をいただきました*1。なんとこのたび、石井さん自身がブログをたちあげたようです。 聖徳太子研究の最前線 むっちゃ勉強になります。大きく分けると、…

日本唯一のジャイナ教寺院

6月1日にゼミ旅行に行ってきたのだが(情報歴史学研究室: ゼミ旅行2010 in 神戸参照)、そこで前から行きたかった、神戸の異人館街にあるジャイナ教の寺院を訪ねてみた。バグワン・マハビールスワミ・ジェイン寺院 (Bhagwan Mahavirswami Jain Temple) であ…

奈良伝説探訪

出たのはちょっと前ですが、Amazonに登録されたみたいなのでご紹介。少しだけ執筆させていただきました。 奈良伝説探訪作者: 丸山顕徳出版社/メーカー: 三弥井書店発売日: 2010/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 目次は以下の通り。 は…

大西祝とその時代

できたばかりの同志社→東京帝大→早稲田と渡り歩いた、近代日本最初期の哲学者の伝記。おもしろく読めた。念願の留学時に勉強のしすぎで不眠症?になり、36歳で亡くなったらしい。今の私より年下なのか。嗚呼。大西祝とその時代作者: 平山洋出版社/メーカー: …

元三大師良源―比叡山中興の祖―

今週の土曜日(4月18日)に静岡で良源の話をするので、駆け込みで大津市歴史博物館の企画展に行ってきた。 第51回企画展 慈恵大師1025年御遠忌記念企画展 元三大師良源−比叡山中興の祖− 良源は、所謂「応和の宗論」で法相宗と一切皆成・一分不成仏を争ったり…

生き延びるためのラカン

ラカンを勉強したいという学生からおすすめのラカンの入門書を聞かれたので、Twitter上の皆さんに質問したら、いろいろ紹介していただいた。その中の一冊*1。生き延びるためのラカン (木星叢書)作者: 斎藤環出版社/メーカー: バジリコ発売日: 2006/11メディ…

新発見・元暁『大乗起信論疏』写本

ミュラーさんから教えてもらった、元暁『大乗起信論疏』の写本が敦煌文書の中から見つかったというニュース「中国・敦煌から持ち出された古文書の山から元暁大師著述の「最古の写本」発見」について、Twitterでつぶやいていたら(師茂樹 MORO Shigeki(@moros…

「絶対当たる占い」についての白川静の発言

野村さんが見えないものを見るための占い - Under the Hazymoonで、 ユリイカの白川静特集*1で、もろさんが「“絶対に当たる占い”の場合、さらに一ひねりが加わっている。甲骨文字を使った占いでは、望ましい結果が出るまで何度も占いを繰り返したり、結果に…

『藤氏家伝』に見える観仏体験

先に書いたエントリ「懺悔・占い・禅定・受戒」に対するほうじょうさんのコメントで出てきた『藤氏家伝』を、ようやく目を通したので、観仏体験に関する部分を抜き書き(書き下しと頁数は『藤氏家伝 鎌足・貞慧・武智麻呂伝 注釈と研究』による)。はっきり…

ユリイカ2010年2月号 特集=藤田和日郎

寄稿しました。ユリイカ2010年2月号 特集=藤田和日郎 『うしおととら』『からくりサーカス』そして『月光条例』・・・少年マンガの20年作者: 藤田和日郎,荒川弘,諸星大二郎,立原えりか,伊藤比呂美,加門七海,市川春子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2010/01/…

The Teeth and Claws of the Buddha

やっと届いた。まだパラパラめくっただけ。The Teeth and Claws of the Buddha: Monastic Warriors and Sohei in Japanese History作者: Mikael S. Adolphson出版社/メーカー: Univ of Hawaii Pr発売日: 2007/06/30メディア: ペーパーバックこの商品を含むブ…

日本辺境論

読んだ。日本辺境論 (新潮新書)作者: 内田樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/11メディア: 新書購入: 26人 クリック: 765回この商品を含むブログ (334件) を見るまあ、全体的にどこかで読んだ気がする文章であったが、内田樹氏に関しては「いつもおもし…

いろいろご恵贈頂きました (2)

いろいろご恵贈いただきました (1) - もろ式: 読書日記から1ヶ月も経ってしまい、ダメ人間街道まっしぐらですが、皆様いかがお過ごしでしょうか(涙)。いつもいろいろ教えてもらっている舩田さんからは次の2本を頂きました。 舩田淳一「中世叡山の戒律復興 …

『季刊日本思想史』第75号

id:monodoiさんにご恵贈頂きました。季刊日本思想史 No.75作者: 日本思想史懇話会出版社/メーカー: ぺりかん社発売日: 2009/12メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (3件) を見るid:monodoiさんの論文やid:t-kawaseさんが翻訳した論文をはじ…

ニッポンの思想

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。年賀状は今から出します。すいません (^_^;;ところで、昨年末にふとんでゴロゴロしながら読んだのがこれ。ニッポンの思想 (講談社現代新書)作者: 佐々木敦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009…

写真の存在論

素人目だが、これ、なかなかいい本かも。写真の存在論―ロラン・バルト『明るい部屋』の思想作者: 荒金直人出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2009/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブログ (11件) を見るバルト『明るい部…

いろいろご恵贈いただきました (1)

しばらく前からいろいろいただいていた抜刷があったのですが、御礼が遅くなっていました。すいません。そしてありがとうございます。 丸山顯徳「霊異記を通して見た日中の霊魂観の違い」(『駒澤大学 仏教文学研究』第12号、2009年3月) 丸山先生が企画した…

経典に埋め込まれた身体的因果 ―仏教の実践論を考えるために―

シンポジウム: 身体からはじま(め)る思想(史)での発表資料を晒しておきます。この発表については、野村氏が読書をめぐる冒険 - Under the Hazymoonで全体と関連付けながらまとめてくれてますが、以下の原稿は発表時のアドリブや討論などで修正が加わるべ…