縄文少年ヨギ

ちび向けに買ったものだが、読んでみた。

縄文少年ヨギ (ちくま文庫)

縄文少年ヨギ (ちくま文庫)

水木しげる作品を読むたびに思うのは、一見近代人風なふるまい、話し方をするキャラクターたちが、前近代的なものや超常現象的なものに対峙した時に、何の抵抗もなくすっと受け入れることの、なんとも言えない心地よい脱力感みたいなものである。この作品でも、それを楽しむことができた。

徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理

あけましておめでとうございます。毎年のことですが、冬休みになると気が抜けるのか、疲れがどっと出て横になることが多い年末年始です。大晦日には、布団でごろごろしながら、これを読んでました。

韓国と日本との歴史認識、法に対する考え方などの違いがよくわかりました。今までわかっていたつもりだったこともいろいろ勉強しないといけないと思った次第。

グローバル化によって東アジアにおける日本の位置づけは、日本人が思っている以上に(←これが重要)低下しており、韓国における日本の位置づけも例外ではない。したがって、【韓国崩壊 最新】日韓スワップ協定、朴槿恵が泣きついてくるのは時間の問題=ネット「100倍返しだ!!」「もう関わるな!!」のような議論は成り立たないし、場合によっては日本が自身の経済力を過信して恥をかく可能性があるもあるとのこと。韓国は、国際司法裁判所に出ることを想定して、各国に博士号を持ってるぐらいの人材を派遣したりするなど、着々と準備しているとのことで、「韓国は国際司法裁判所に出ると負けるから拒否しているだけ」というような、2ちゃんねるまとめ掲示板的な議論もまた危ういものであることがわかります*1

この本は2012年、イ・ミョンバク政権の頃ですが、政権交代があったり、所謂「慰安婦問題」についてもその後いろいろ展開があったようです。

本書の著者の一人、木村幹氏のツイートをフォローしてますが、なかなか勉強になります。今後もいろいろ精進が必要なようです。

*1:本書とは直接関係ないけど、日本の仏教学の状況もこれに似てるかも。

言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

冬休み息抜き読書は続く。

認知言語学の入門書。生成文法との対比で書かれていてわかりやすい。

最近研究している因明(東アジアの仏教論理学)を読んでいくのにヒントになるような概念がたくさん出てくる。認知言語学は、意味論と語用論とのあいだに線引するのは無理、という立場だそうなので、やはりそのあたりが連続している(というか、そこにはっきりとした線を引くのは従来の言語学に特殊なやり方なのだろう)因明の世界になじみやすい印象。たとえば認知言語学における「プロトタイプ」の議論などは、因明における自相(と差別)の議論を考える上で参考になるのではないかと思う。

荒天の武学

冬休みに入ったので、軽めの新書を読みたかったのである。

荒天の武学 (集英社新書)

荒天の武学 (集英社新書)

東南アジアやハワイの武的環境がなかなかシビアみたいなので(そういう環境には住みたくないけど、他人ごととしては)たいへん興味深い。プロレスの世界でしばしば言われるサモア人最強説がさらに強化された。

光岡英稔氏の武術観、武道観は、仏教の(特に部派や瑜伽行派のような伝統的な)瞑想修行に近いように思われる。

三位一体説をめぐる対話のなかで内田樹氏が述べた「四世紀くらいまでは聖霊の接近をありありと感じられた人たちが普通にいた」(p. 176)などの言葉に、少し考えるところが(キリスト教のことではないけど)あった。

相羽奈美の犬(全)

久しぶりに読んだマンガがこれ。

相羽奈美の犬(全) (ビームコミックス)

相羽奈美の犬(全) (ビームコミックス)

このマンガ家は『薫の秘話 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)』以来好きで、『ママゴト 1 (ビームコミックス)』なども積読状態なのだが、最近忙しくて読む時間がない(正確に言えば、マンガを読む時間ぐらいならあるのだろうが、仕事を先にやらなければいけないのではないか、というワーカホリック的強迫観念でなかなか手に取ることができない)。相変わらず、あまり救いのない設定のクズ人間・ひねくれ人間たちがやや毒入りのギャグとともに描かれているのであるが、今回はファンタジー設定ということでやや救いがある終わり方であった。